2020年 ご挨拶


令和2年、農業生産法人「みちさき」は震災後の設立から7年が経過しようとしております。

昨年は異常気象による農業被害が甚大な年でありました。
これまでの宮城県は冷夏による稲作被害を起こしやすい気象条件でしたが、対して昨年は猛暑による高温障害を受けるほどでした。
米の上位等級が50%台と大幅な品質低下を招き、農業者が非常に大きなダメージを受けた年でした。

例年では稀な10月の台風、それも大型のものに2回見舞われ、そのうちの1つ19号は関東から上陸し、宮城県を直撃した後、東北を縦断しました。
その被害の大きさは、想定をはるかに超えるものであり、被害を受けた多くの方が現在に至るまで避難を続けている状況です。
比較的被害の少なかった仙台市内の農業者においてさえ、水害による土壌流出の影響で播種作業ができず、冬季の収入が断たれる事態となりました。

今後このような異常気象は、いつでも起こりうると多くの有識者が予測しており、安定した農作物の提供が強く求められていると考えます。

弊社が取り入れている施設型水耕栽培は、比較的気象条件に左右されにくい技術と言われておりますが、安定した栽培の実現までには少し時間が必要です。
日本には気象条件の違いによる様々な栽培環境があり、また同一地域でも四季による栽培環境の変化があります。
わずかな環境変化でも結果を大きく変えてしまうため、千差万別な条件下のもとにハウス内の環境を変え、都度品種を変更し、栽培環境を常に変化、適応させていかなければなりません。
そのため水耕栽培でも、1年を通して同じ結果を出していくことが難しいのです。

暗黙知の中で栽培をすることも大切なことと考えますが、弊社においては暗黙知以上に形式知を重視しており、その形式知によって気象条件の異なる地域においても安定した栽培ができる技術の横展開を図ることが可能と考えております。
さらに農業先進国から新しい技術を取り入れ、いかなる環境下においても、「安定した品質・安定した出荷量・安定した価格」を具現化することが、これからの食料をめぐる情勢において急務であると思念しております。

『新しい価値を創造し、次世代へとつなぐ農業のみちさきを示す』

全社員、昨日より今日、今日より明日と、日々改善、日々実践で邁進してまいりますので、今後とも私たちのチャレンジにご期待ください。

2020年1月1日 菊地 守